ボブ・ホーナー
愛すべきクソゲーの筆頭格「燃えろ!プロ野球」である。
「燃えろ!プロ野球」は1987年にジャレコから発売されたプロ野球のファミコンソフトである。音声システムの導入やペナントレースモード、投手を背にした画面構成などが当時発売されていた他の野球ゲームとは一戦を画しており、ファミコン雑誌での評価も高かったことからたくさんの人が買い求めた。
小学生ながらに賢明だった私は購入せず、友人宅に入り浸ってはひたすら対戦プレイをしていた。
同時期に流行っていたということもあるが、燃えプロはナムコのファミスタと比較されることが多い。ファミスタの投球が横の変化しかなかったのに対して、燃えプロは横の変化に加えて縦の変化も加えたので、カーブやフォークなどの「落ち球」が視覚的にもわかるようになった。そして、打者のスイングも左右の指示だけでなく、上下の指示も出さなければいけなかった。
2Dの画面上で3Dの感覚が味わえた。これは当時画期的なことであった。
(ファミスタにもフォークがあるが、落ちたら絶対打てないという点で、野球板の消える魔球と同じであり、これは上下の概念ではない)
しかしながら、燃えプロは「空振りしにくい」「ひと試合に時間がかかる」「四番打者は本塁打ばかり打つ」「バグが多い」など問題が山積みだった。
空振りしにくく、当たればヒット、走者の足はとても遅いなどバランスがイマイチだったり、ファールのあとはどこに投げてもストライクになるというバグが簡単に発生したり(生産後期では修正された)、強打者はバントでもホームランになるなど、お笑いネタとして使われることの方が多くなっていった。
確かに今考えると、燃えプロはクソゲーだったかもしれないが、球の上下という概念を生み出したという点と、「バントでホームラン」という今でも残る笑いネタを生み出したという点で、けっこう名作なのかもしれない。